「宅建は過去問だけで受かる」
「宅建は過去問の繰り返しだけでOK!」
と、耳にした経験をお持ちの方も多いかと思います。私も500回くらい聞きました。
ここで悲しいお知らせ――

宅建は、過去問だけの学習だと90%落ちます(泣)
筆者の周りにも「過去問だけ繰り返しやったのに、落ちた」人が続出していますが、彼・彼女らには 共通点ありました。
●この記事を書いた人
宅建士。不動産会社に勤務してた人。
宅建は独学で300時間ぐらい勉強し合格。
周りに宅建試験の勉強法で悩む人が多いので、このサイトを秘伝書として立ち上げました。
宅建の学習方法に悩む方の参考になればコレ幸いです。
宅建は、過去問だけでは受からない
宅建試験の勉強で、過去問を繰り返すだけでは受からない理由は、
- 過去問「だけ」を解いていて、テキストを読んでいない
- 過去問しか理解できていないので、実試験で応用がきかない
- 「過去問を解いた」という行為だけで、謎の満足感を得てしまっている
- 過去問を1日1問ずつ解いてはいるが、50問、ぶっ通しで解いた経験はない
- 古い年度の過去問を使っていて、法改正に対応できていない
まだまだありますが、主な理由はこんな感じ。
宅建の試験勉強は、なるべく効率よく進めたいところ。
そんな折に「過去問だけで受かる」と聞くと、脊髄反射で「過去問だけやればいいんだ、ヨッシャー!」と解釈する人がいるようです。
宅建で過去問を繰り返したのに、落ちた人の共通点5つ
宅建の試験勉強として過去問を繰り返したのに、落ちてしまった人の共通点は以下5つです。
思い当たる節があったら要注意! 順に詳しくみていきましょう。
間違えた箇所を放置している
解いた問題の「振り返り」をしない人。
宅建の過去問集を解いてはいるけど、間違えた箇所をそのまま放置して、どんどん先に進める人です。
過去問を解いて「当たったー」「外れたー」「よーし、次いってみよー!」と、クイズ感覚で取り組む人がいますが、こうした人は残念ながら毎年、試験に落ちています。
筆者の周りに、かなり多いタイプです。
間違えた箇所を見直さない人は、なぜか過去問に付属している「解説文」も読みません。
どうして過去問の解説を読まないのか聞いてみたこともあるのですが、

宅建の勉強はツラくて苦しい。
苦しさを超える「景気づけ」に「やってる感」が欲しい。
だから、問題をどんどん解き進めてる。
と言っていました。
とりあえず、問題を解いていれば「勉強した感」が出るため、それで満足してしまっている様子です。
宅建の過去問に取り組むときは、必ず「なぜ、間違えたのか?」を理解するために、解説と出題箇所のテキストを見直しましょう。
ただ過去問を繰り返すだけでは、次回も同じ箇所で間違えてしまいます。
テキスト(参考書)を読んでいない
ほんとに過去問だけを、ひたすら解いている人。
宅建のテキスト(参考書)を読まない人も、落ちる人の共通項です。
- 書店で過去問集だけを買ったが、テキストは高いので買わなかった
「だって、宅建は過去問だけでいいんだよね?」 - テキストはあるけど、過去問の解説だけでじゅうぶんな気がした
「だって、宅建は過去問だけで……略」 - 過去問を解いたあとに、テキストを読むのが面倒
「だって、たっけnは過去m……略」
このような考えで、なぜか「テキストを使わない人」がいます。でも実際は、

テキストは、知識のインプット用
過去問集は、知識のアウトプット用
宅建のテキストと過去問集は、切っても切れない関係です。
テキストに書かれた「宅建の基礎知識」が頭に入っていないと、実試験で出題範囲が微妙にズラされたときに対応できません。
宅建試験は、過去に出題された問題に似た問題が再び出されるケースが多いですが、中には、本番の試験会場で初めて見るような問題もあります。
出題範囲の全体像をつかんでいないと、初対面の問題に対応できず、正解を導き出すのが困難になってしまいます。
特に法令上の制限に関する問題は、覚えることも多く、ややこしいため、過去問だけでは統括的な知識をカバーしきれません。
権利関係や宅建業法も、いやらしい引っ掛け問題があるため、やはり宅建の基礎となる考え方を、根本からおさえておかないと、応用問題に対応できない場合があります。
宅建試験の勉強は、以下の繰り返しが理想です。
- STEP1テキストを読む
- STEP2過去問を解く
- STEP3過去問の解説を読む
- STEP4テキストを読む
- STEP5過去問を解く
- STEP5過去問の解説を読む……
(以下、無限ループ∞)
テキストと過去問を交互に活用して、知識の抜けがないように学習を進めましょう。
同じ過去問を1回しか解かない
過去問を繰り返し解かない人
「過去問を、とりあえず10年分解くぞ!」と意気込み、同じ過去問を1回しか解かない人も、宅建試験に落ちやすい傾向があります。
「宅建の過去問は10年分を解く」という黄金ルールに縛られているので、過去問を解く目的がすり替わってしまっています。
過去問を解く 本来の目的 | 過去問を 繰り返し解かない人の目的 |
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宅建に合格するために、 過去問を解く | 過去問10年分をひととおり解き、 「達成感」を得たい |
過去問の学習回数の理想は「10年分の問題を3周」です。
1周だと、よほど記憶力が良くない限り、合格は難しいでしょう。
10年分を3周すれば「問題の型」や「引っ掛けが起きそうな箇所」や「問題文の中で、読み飛ばしていい箇所」などが分かり、合格への支えとなります。
年度が古い問題集を解いている
数年前に発売された、古いテキストや問題集を使っている人
年度が古い問題集や参考書を使って学習している人は、何度も宅建試験に落ちる傾向にあります。
筆者の周りにも、毎年毎年、宅建試験に落ちている方がいますが、勉強道具を見せてもらったところ、5年前のテキストと過去問集で学んでいる人がいました。

宅建は法律の改正があるから、毎年、新しいテキストと問題集を買いそろえるのが吉
宅建試験は法改正された分野が、その年の試験に出やすい傾向があります。よって、最新のテキストを使わなければ、新しい法律に対応できず、取れるはずだった点数を落としてしまいます。
また、過去問の解釈も、法改正により180度変わる場合があります。
「○年の時点では、正解が①だった。でも、法律が変わったから、今の正解は②」といった変動が起こり得ます。
最新の過去問集は法改正にも対応しているので、その旨を考慮した解説文や出題が印字されており、ムダな学習をしなくて済みます。
毎年、テキストと過去問集を買いなおすのはもったいないかもしれませんが、宅建試験に落ちてしまったら、時間や受験料がさらにもったいないことになるため、少し奮発して、最新の勉強道具をそろえましょう。
1年分を通しで解いていない
「本番試験に似た環境下」で回答する練習をしていない人
宅建の過去問集には、さまざまな種類があります。
- 過去12年分ぐらいの問題が、年度別に全問、すべて掲載してある問題集
- 分野別に一問一答形式でまとめられた問題集
どちらも過去問という点では同じです。
ですが、一問一答形式の過去問集をメイン教材としており、1年分の問題(統計をのぞいて、45問ほど)を通しで解いていない場合は、本番試験で苦しむことも出てきます。例えば、
- 試験問題50問を、通して解く「体力」がつかない
- 「○問目から宅建業法の問題になる」など、試験問題の全体像が見えない
- 試験問題の全体像が見えないから、試験時間のペース配分ができない
一問一答形式の過去問を解き尽くすのも大切ですが、あわせて「50問を通しで解く」勉強方法も大切です。
宅建の過去問は何年分を解く?

宅建の過去問は、10年分を3周回する勢いで学習するのがベター
10年分の過去問を解けば、おおよそ500問ほどの問題を解いた計算になります。
500問×3周=計1500問の過去問に触れれば、いろいろなパターンの問題が見られて、知識も定着します。
市販の過去問集は12年分を掲載した書籍も多くなってきていますが、あまりに古い過去問だと、法律が変わっていることも多いため、古すぎる問題集はあまり参考になりません。
もし、過去問を10年分、解く余裕(時間)がない場合は、7年分ぐらいの過去問をみっちり解きまくると良いでしょう。
「これは絶対に間違えないと思う!」と、回答に自信がある問題については、2周目以降はスキップしてOKです。
宅建の過去問「3周」のやり方
「宅建の過去問は、10年分を3周回する」のやり方を、もう少し掘り下げます。
宅建過去問 1周目
「過去問10年分を3周回」の1周目は、1年分をぶっ通しで解きます。
1年分をぶっ通しで溶いたら、採点をして、
- ぜんぜん分からなかった問題
- 正解だったけど、よくわかない問題
- 分かってたはずなのに、間違えた問題
これらの問題について、なぜ間違ったのかを分析します。分析には、テキストや過去問の解説を利用しましょう。

採点はするけど、点数は気にしなくてOK!
宅建過去問 2周目
「過去問10年分を3周回」の2周目も、1年分をぶっ通しで解きます。
1周目で間違えた問題を、2周目でよどみなく正解できればエクセレント!
同じ箇所でまた間違えた場合は、その分野が理解できていない証拠なので、徹底的に見直しに入ります。
不思議なことに、1周目で正解していた問題なのに、2周目で間違う――というケースもあります。この場合は、引っ掛け問題にハマっていたり、ほかの知識と混ざって、正解できなかった可能性大。不正解の理由を明確にしていきましょう。
宅建過去問 3周目
「過去問10年分を3周回」の3周目では、2周して2回正解できている問題は飛ばしてOKです。
1回でも間違えた経験のある問題だけを解きましょう。
こんな感じで、年度別に過去問を繰り返し、10年分を3周回します!
間違えた問題や、不安が残る問題がなくなるまで、徹底的に過去問をやり込めば、合格はすぐそこです。
宅建に過去問が必要な理由
宅建に過去問の学習が必要な理由は、以下4つです。
- 過去問から似た問題が出題されるため
- 出題形式に慣れるため
- 試験問題50問の全体像が分かるため
- 問題を解く体力がつくため
過去問から似た問題が出題されるため
宅建試験は、過去の問題と似た形式の問題が、本試験で出題されます。

あー、この問題、過去問で見たことあるやつー
本番でこんな感じに思えれば、試験中に余裕が出て、落ち着いて問題に取り組めます。
出題形式に慣れるため
過去問をひたすら解きまくっていると、宅建の出題形式に慣れていきます。
問題の「型」がわかるようになるので、次のようなメリットが得られます。
- 問題文をぜんぶ読まなくても、何を答えればいいか分かる
- 引っ掛け問題に、引っかからなくなる
- 明らかに不正解の選択肢を、秒で削れる
宅建試験は50問を2時間で解き尽くさなければいけません。
試験問題の形式に慣れていないと、民法のアホみたいに長い問題文や、宅建業法の読み飛ばしていい問題文などを全て読み込むハメになり、試験時間が足らなくなります。
例えば……
問題文の例:宅建業法
営業保証金及び宅地建物取引業保証協会(以下この問において「保証協会」という。)に関する次の記述は、宅地建物取引業法の規定によれば、正しいか。

この問いの場合、
「営業保証金・保証協会」に関する「正しい選択肢」を選べばいい、とだけ分かれば、時短になる
試験問題50問の全体像が分かるため
宅建の過去問を、1年分ずつ通して解いていけば、
- 15問目から、法令上の制限
- 26問目から、宅建業法が出題される
- 23問目から25問目に、税金の問題が2問出る
など、全体像が見えるため、試験時間のペース配分がしやすくなります。
問題を解く体力がつくため
宅建の試験時間は2時間です。
宅建試験の概要
毎年1回、10月の第3日曜日に、次の時間で実施します。
・午後1時~午後3時(2時間)
※ただし、登録講習修了者は、午後1時10分~午後3時(1時間50分)
全ての問題を解いて、見直しをして……と、2時間をフルに集中するのは、なかなか大変です。
過去問を繰り返すことで、宅建の問題を「見慣れる」「解き慣れる」ようになるため、実際の試験で集中力を落とさず、正確な回答を導き出せるようになります。
普段の勉強時に、1年分の問題を通しで解くなども効果的。2時間を使ってガッツリ集中し「問題を解く体力」を鍛えておきましょう。
宅建:参照サイト